mixi 17周年「人と人とのつながりで広がったサービス」創業者笠原が語るつながりへの想い
mixiユーザーの皆さまこんにちは。mixi運営者ブログを担当しています tj です。
mixi は、2021年3月3日に正式オープン17周年を迎えることができました。これもひとえに、ユーザーの皆さまのご利用あってこそと感謝しております。誠にありがとうございます。
今回のブログでは、17周年を記念して、mixi の生みの親であり現在は当社取締役会長の笠原へのインタビューをお届けします。創業者が mixi で提供したつながり、そして今も他サービスで提供し続けているつながりについてご紹介したいと思います。
また、17年間の感謝を込めて、笠原から皆さまへのコメントもお届けします。こちらは笠原のmixi日記で、本日公開しました。この記事の最後にリンクを張っていますのでご一読くださいませ。
【創業者インタビュー記事:目次】
- mixi をはじめたきっかけ
- mixi で提供したつながり
- 現在の活動について
- mixi 17周年についてのコメント(mixi日記)
mixi をはじめたきっかけ
────はじめに mixi の創業時のことから伺っていきたいと思います。mixi のアイデアはどのようにして思いついたのでしょうか。
mixi の最初のキッカケは、アメリカの「フレンドスター」というサービスを知ったことでした。初めてフレンドスターを見たとき、ネット上でリアルの人間関係が再現されていく仕組みにすごく新しいな、可能性があるなと衝撃を感じたことをよく覚えています。一方で、つながりが出来た後にすることはあまり用意されていませんでした。自分たちの新規事業として行っていく場合、ネット上で友人知人がつながり、つながった後、様々なコミュニケーションを取れるサービスが良いのではないか、つまりそこに、日記や足あと、コミュニティといった機能が必要ではないかと思い、自分たちで独自に設計しながら作っていきました。
────いま話のなかで「日記」「足あと」「コミュニティ」といった機能を作られた背景について教えていただきました。これらの機能は、mixi を思いついた当初から使われ方のイメージはできていたのでしょうか。
日記や足あとは mixi でつながった人たちがコミュニケーションできる機能として用意しようと思っていました。ブログを書く文化は多少広がっていましたが、まだネットでものを書くことは一般的ではありませんでしたし、友だち同士のつながりの中で書いてくれるのかという不安はありましたね。そのため最初、日記とあわせて外部の自分のブログを取り込める機能も用意していました。一部の先端ユーザーが対象ですが、外部ブログを追加することで日記を書いてもらう必要がなく、すでにあるコンテンツを取り込めて良いのではないかと思って。でも実際にはじめてみると、公開したい相手がブログと日記だと違うのですよね。見せたい相手が異なると、書きたいコンテンツも違うということで mixi で日記を書いてもらったり、あと日記のほうがコメントをもらえて嬉しい、というのが強く効いて、思っていた以上に順調な立ち上がりで日記を使っていただけました。
またコミュニティは、当初アイデアにはありましたがリリース時はなかったんです。ユーザーの方たちからの強い要望があり、要望をもとに詳細を考えてコミュニティ機能を作りました。mixi をはじめてから2〜3ヶ月後に開始したと思います。要望・ニーズをある程度吸収しながら作るという方法が良かったのか、コミュニティは立ち上げてすぐに人気の機能になりました。
────mixi は2004年3月3日に正式にオープンしました。mixi を公開したときのことは覚えていますか。
はい。実際に公開したのは2004年2月22日なんですよ。開発も大詰めで土日も開発していましたが、「あぁ、『ガキの使い』が始まったなー」と思った頃、隣のバタラさん(衛藤バタラ/元取締役兼最高技術責任者)が「できたかな」と声をあげ、2人でIDを登録して mixi がはじまったという感じです。
mixi がはじまった翌日、友人知人にパーっと招待メッセージを送り、そこからどんどん広まっていきました。最初の1週間で1000人ほどだったと思います。1ヶ月後に1万人、翌月には2万人ほどに増えていきました。
はじまって2〜3週間くらい経った頃、自分の知らない学生同士がとても熱心に使ってくれているのを発見しました。それまでは自分とつながりのある人やその知り合いが盛り上がっているのは見ていましたが、そうでない人たち同士でも盛り上がっているのを見て、熱量の再現性やサービス成功の可能性を感じました。一方で、うっかりデータベースを消してしまってプロフィールの自己紹介が消えてしまったり、サーバが半日くらい止まってしまったり、今だと考えられないようなことも初期の頃は何度かありましたが。
前述のコミュニティ機能もその後リリースし、つながったマイミク同士は日記や足あとで、mixi 内の共通の趣味や関心のコミュニケーションはコミュニティで、といった感じで(社内では前者を縦のコミュニケーション、後者を横のコミュニケーションと呼んでいました)、いい感じでユーザーの方のコミュニケーションニーズを満たし、熱心に使っていただきながら、加速的に盛り上がっていきましたね。
────貴重なお話ありがとうございます。mixi をはじめようと思ってからオープンまで、年月としてどのくらいの期間がありましたか。
mixi をはじめる前の年の2003年11月くらいにSNSをやろうと話が出ていたので、3〜4ヶ月以内にはじまった感じですね。
mixi で提供したつながり
────mixi がはじまった当時は招待制でした。親しい友人知人など、リアルでつながりのある人が書いた日記などへのリアクションをすることが面白く、また、リアクションしてもらえることが嬉しくて日記を書く、というように mixi が使われていたと思います。コミュニケーションサービスとして大切にしていたことはありますか。
そうですね、「居心地のよい場であるかどうか」ということは常に大事にしようとしていました。いかにストレスなく使ってもらえるか、ということをよく考えていました。
“mixi疲れ”という言葉もありましたよね。ユーザー同士が過剰なほど近い距離になるのもよくないですし、ほどよい距離感でストレスなく言いたいことが言えて、楽しくいられる場であって欲しいとはずっと思っていました。
────2004年にサービスを開始してから、2005年、2006年と年を追うごとに世間で利用者が増えていき mixi は流行しましたが、どのようなお気持ちでしたか。
素直に嬉しくもありましたし、逆に多くの方に使ってもらう責任も感じていました。街を歩いていても mixi の画面をガラケーで開いている方を頻繁に見ましたし、「昨日 mixi でさ〜」という声が聞こえてくることもよくありました。多くの方に熱心に使っていただけることは、やはりサービス提供者冥利に尽きることですし、非常にやり甲斐のあることだなといつも思っていました。mixi がキッカケで結婚しました、という声をmixiメッセージで直接いただいたり、実際にお会いした時に伝えていただくこともよくありましたね。
────利用者のなかには mixi を利用したことで、インターネットのサービスは楽しいものだと感じた方も多くいたと思います。今振り返ってみて、mixi が受け入れられたことをどう思いますか。
それまではインターネットで検索こそすれ、能動的に情報発信する人は一部だったのではないかと思います。そういった状況下で、mixi ではじめて自分から情報発信したり、インターネット上でコミュニケーションを取ったりしたことは大きな変化だったのではと思います。
それは、やはり友人間で広がっていくからこそ、コミュニケーションの敷居の低さがあったのだと思います。友だちから招待されたことをきっかけに mixi に登録する、よく知っている仲の良い友だちとわいわいコミュニケーションするために自然に使いはじめている、といった流れがあったのかなと思っています。
年数が経つにつれ、段々と自分のお父さんお母さん世代がいつの間にか mixi を使っているということもありました。これまで、インターネット上でコミュニケーションすることが想像できなかった人たちが、わいわい楽しんでいる様子をみて驚いたという声もありました。
これも mixi は人と人とのつながりで広がったサービスだからこそかなと思っています。
────笠原さんご自身も mixi を利用されていて楽しかった思い出はなんですか。
この話は純粋な利用体験とは違うのですが、mixi をはじめて半年ほど経ったときに、ユーザーの方たちが「mixi無敵会議」というイベントを開催してくれたことがありました。
ちょうどその頃、『ソーシャルネット「mixi」、儲からなくても続ける理由』という記事が掲載されました。それを見た人が「mixiが赤字のままなくなると困る。どうすれば収益化できるかをみんなで考えてみたい」ということで、自身の日記で「こういう会議をするのでみんな参加しない?」と呼びかけてくれました。そして、実際に多くのユーザーの方が集まり、いろいろとアイデアを出してくれて。みんな mixi が好きでなくなったら困るので、自分ごととしてどうすれば mixi が面白くなるか、収益をあげることができるか、ということを考えてくれたのが印象的でしたし、非常に嬉しかったですね。
────mixi がはじまった2004年はSNSが世の中で使われはじめた年で、新しいサービスでした。その後、世界中でいろいろなSNSが誕生して日本でも盛り上がっていきました。最近では Clubhouse が注目されています。そのようななか、mixi が17年と長く続いていることをどのようにみていますか。
そうですね、先ほど「ネットで書き込んだのは初めてです」という人も出てきたという話をしましたが、mixi の意義としては、SNSの文化・体験を日本に根付かせることができたというのが大きな役割としてあったのかなと思っています。そういうSNS文化の入り口となるサービスだったのかなと。
今は多種多様なSNSが出てきていて、非常に強いサービスもあれば、ちょっと変わったサービスもあると思います。多様なサービスが出ていくなか、mixi をずっとご利用いただいている方たちも引き続きたくさんいらっしゃって、とても感謝しています。
mixi としても皆さんに使っていただいているこの場を大事にしながら、より居心地の良い場であり続けたいと思っています。
現在の活動について
────mixi についての質問は以上となります。ここからはいまの笠原さんの活動について質問させていただきます。笠原さんは「家族アルバム みてね」を企画・開発し、2015年からサービスを提供しはじめて約6年が経ちました。「みてね」をはじめたきっかけを教えてください。
mixi の経験もあってよりクローズドに特化したSNSへの興味があったと思います。そのなかで自分の子どもが産まれて、子どもの写真・動画を誘った家族と共有、コミュニケーションできるサービスがあったらいいなと思っていました。ちょうどスマホでいろんな写真・動画を撮る時代にもなっていますし、おじいちゃんおばあちゃん世代もスマホに変えてくる時期でもあって、これからの時代にあっているのではと思って開始しました。
────「みてね」の特徴は家族間で子供の写真を共有するもので、利用者はパパやママ、おじいちゃんやおばあちゃん、親戚といった家族間に限定されています。mixi とは違った家族間のコミュニケーションにはどのような良さがありますでしょうか。
そうですね、子どもの写真・動画というコンテンツを、mixi でつながっているマイミクに共有するとか、他のSNSで発信することもできるとは思います。しかし、より共有範囲を狭くすることで、またフィードではなくアルバムという体裁でもあるので、例えば連写で撮った子どもの寝顔とか、そういうのも含めてストレスなく多くの写真・動画を共有できます。これは、より限定した場だからこそできることだと思います。
────「みてね」には mixi でいうところの「足あと」や「公開範囲」と同じような機能がありますが、これらは mixi の経験から考えられたのでしょうか。
はい、やはりその経験は大きいですね。mixi でいろいろ機能に対して、多くの方から様々な反応をいただきました。喜んでくださることもあれば、「いらない」とか「ストレスに感じる」という反応もありました。もちろん全員が同じ反応というよりは、それぞれが違う反応だったりします。そういった反応をつぶさに見てきていたので、「こういう機能があればこれぐらいの人たちがこういう風に思ってくれるな」といった、その辺の感覚が養われたと思います。
mixi で得た経験から着想した機能だと、「みてね」にはみたよ履歴という「誰が○分前にみてねを見てたよ!」ということがわかる機能があります。みたよ履歴があると、アップロードした方も見てくれたことがわかることで「あげた甲斐があったな」と思います。または、アップロードしていなくてもみたよ履歴が更新されていると「そろそろ何かアップロードしないと、待ってくれてるんだな」とも思い、更新するモチベーションにもなるだろうと用意しています。
また、公開範囲もストレスなくコミュニケーションしていくためには必要なものだと思っています。「みてね」の場合、アルバムのオーナーに権限をもたせており、写真や動画をアップロードする側が快適にコミュニケーションできるようカスタマイズできる機能を提供しています。最近では、みたよ履歴やコメント機能のON/OFFをアルバムごとにオーナーが選べる機能をリリースしましたが、それぞれの家族に合った形で柔軟に使っていただければと考えています。
────「みてね」は子供の成長が残っていくため、利用されているパパやママにとって大切なサービスとなっていますが、お子さんとも一緒に思い出を見返せるのでとても良いことだと思います。このサービスの良さが10年20年とずっと続いていくものとして、笠原さんご自身も長く関わっていくことを意識していますか。
「みてね」は子どもたちの成長が全部詰まっているアルバムなので、10年、20年、30年あるいはもっと長い期間、大事に、場としてあり続けなければと思っています。そして、その子どもたちが親になっていくこともあるかと思います。そのときに同じように使ってもらえる場となっていけば嬉しいですね。
いま「みてね」では、6言語でサービスを提供しており、ご利用いただいているユーザーの方たちも1000万人に届こうとしています。世界中で子どもを愛し、大事に育て、その様子を親しい人たちが見守りたいニーズは変わりません。もっと世界中の方たちに使ってもらえるサービスにしていきたいなと思っています。
mixi 17周年についてのコメント
最後に、笠原から皆さまへ、17年間の感謝を込めて綴ったmixi日記を本日公開しました。
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mixi のオープンから17周年を迎えて創業者である笠原へのインタビューをお届けしました。
これからもスタッフ一同で、ユーザーの皆さまにコミュニケーションの場を提供し続けるため頑張ってまいります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。